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介護のお仕事お役立ちコラム

【フルノシステムズ コラム 第1回】DXにおける無線LANインフラ

フルノシステムズコラム

 令和6年度の介護報酬の改定の概要も徐々に明確になってきましたが、今回の改定では、現場の生産性向上とDXが大きなポイントになっています。DXといえば、ICT環境の話を抜きには語れません。ネオスケアもWIFIネットワーク環境の下で使用します。

 今回の新連載 連続コラムでは、そんな介護業界のDXになくてはならない通信環境についてのお役立ち情報を【介護現場の通信環境】というテーマで5回シリーズでお届けします。

 第1回目は、イントロダクションとしてDXについてお話します。

DXとはデジタル化することなの?

 現在、IT・ICT・IoT・AI・DXなどの略語が頻繁に使用され、「何かしなければ将来的に漠然と不安」と感じる状況があります。しかし、具体的に何が必要で、何をするべきで、どのようなリスクがあるのかが不明瞭の中、単にパソコンやIT機器を整えるだけではないでしょうか。こではDXではなく、「デジタル化」に過ぎません。

実は、DXとは単なるデジタル化ではないのです。

 DXという言葉は、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が発表した論文で初めて用いられ、以下のように定義されています。

「デジタル技術が人間生活のあらゆる側面に引き起こす、あるいは影響を与える変化」

 また、経済産業省は「デジタル・ガバナンスコード」において、DXを以下のように定義していま
す。

「企業がビジネスの環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社内のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/tebiki2-0.pdf

「競争上の優位性を確立すること」は、介護施設において「事業を継続すること」と読み替えても相違ないかと思います。すなわち 介護現場のDXとは

 「デジタル技術を使って、業務などを変革し、事業を継続すること。」

といっても過言ではありません。

介護現場のDXは介護記録から

 介護現場のDXは「デジタル技術を使って、業務などを変革し、事業を継続すること」と定義した上で、実際の介護現場のDX化について考えてみましょう。

 以前より、私は、介護現場のDXのポイントは「介護記録」にあるのではないかと考えています。デジタル化とは、アナログデータを電子化し、全体の中のある特定の部分にデジタル技術を採用することを指します。介護記録に置き換えると、紙媒体から電子媒体へ変更し、介護記録ソフトで記録・編集・報告を行うこと等を指します。電子媒体化されたデータは、パソコンなどコンピュータで扱うことができます。デジタル化によるメリットは、事務業務の率化、紙コスト・保存コストの削減、データ検索の効率化など多方面に及びます。

 このデジタル化によって効率化された業務をもとに、新しい付加価値を生み出していくのがDX化です。例えば、職員の業務負荷を改善し、ご利用者様とのコミュニケーション時間を創出し、サービス品質を向上させたり、地域共生社会実現に向けて、ピア会議やケース会議の時間を創出したりすることが可能です。

 このように、新しい価値を基盤に事業を継続し、よりよい社会を目指して成長させていくことが、まさにDXの真骨頂なのです。

無線LANでDX化を加速させよう

 介護現場の皆さんが、よく耳にする言葉にDXと並び、「LIFE」があります。
LIFE(科学的介護情報システム)とは、介護施設・事業所が行っているケアの計画・内容や介護サービス利用者の状態などの情報を一定の様式で厚生労働省に送信すると、そのデータが分析されフィードバックされる情報システムです。

 そうです。お気づきにように、LIFEは、デジタル化された介護記録の情報を、送信することから始まるのです。

 デジタル化されたデータは、ネットワークを通じて通信することが可能になります。例えば携帯電話を用いた通話の場合、人の「声」というアナログデータを携帯電話でデジタルデータに変換し、キャリアのネットワーク網を通じて相手の携帯電話まで届け、相手の携帯電話でアナログデータに変換して「声」を届けています。介護記録ソフトでは、介護内容や利用者の状態がデジタルデータでコンピュータに記録・保存・編集され、処理され、通信を行います。LIFEはこれらの技術の上に成り立つDX化(サービス品質改善)の象徴なのです。

 このようにアナログデータをデジタル化・処理する技術をデジタル技術といい、デジタルデータは通信を行うことで最大限の活用価値を発揮します。例えば介護記録に入力されたデータは介護記録ソフト上でスタッフ全員に共有され、場合によっては家族にも即座に共有されます。むしろ、通信を行わないデジタルデータはその場だけの活用になり、アナログデータと大きくは変わりません。この重要な「通信」を担う一端が無線LANなのです。

 定義の説明などもあり、少し堅苦しいお話になってしまいましたが、デジタル技術を活用して便利な仕組みを利用するためには、無線LANも必要になる、とご理解いただけると相違ありません。

まとめ

 今回は、介護記録、LIFEを例に取り上げ、介護現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)と、DXと無線LANの関係性についてお話ししました。介護現場においては、通信環境を整備することが必要不可欠であるという理解をお持ちいただけたのではないでしょうか。

 次回は、いよいよその通信環境を整えるために、重要なポイントを説明してまいります。どうぞ、ご期待ください。

筆者紹介

株式会社フルノシステムズ 営業本部 営業技術部 技術主任

中山裕隆

SIシステム、業務システムの構築に始まり、その後はインフラ構築、ネットワーク構築へ。地域イントラ構築等の公共事業においてもキャリアを持つ。現在は、文教・自治体への無線LAN提案を中心に幅広い分野へ取り組みを進める。

 フルノシステムズは、あらゆる産業や公共施設の無線通信の発展を40年に渡り支え続けてきたビジネスワイヤレスのリーディングカンパニーです。特定小電力と呼ばれ用途が限られた無線LANの時代から、Wi-Fiと呼ばれ世間一般に利用される時代まで、一貫して自社製品を開発・サポートしています。最近では、介護施設、教育現場などインフラ整備に積極的に取り組んでいます。