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介護のお仕事お役立ちコラム

介護ロボット活用には「選定基準」の作成をお薦めします

介護ロボットの導入・運用講座

誰にどの介護ロボットを使用するのか、明確な基準を持って運用されていますか?

本日のコラムは見守りシステム Neos+Care(ネオスケア)に特化した内容ではなく、介護ロボット全般に該当するテーマとなっています。

なぜ「選定基準」が必要なのか?

 歩行支援機器をイメージしてください。ご存知のとおり、歩行支援機器にはいろいろな種類があります。シルバーカー、一本杖、多脚杖、歩行器、車いすなど。これら多種多様な歩行支援機器について、誰にいつ、どのように使って頂くのかどのように決めていますか?

 介護の現場においては、ご利用者様のバランスの良し悪しや、腕の力など身体の状態に合わせて基準・ルールを設けて運用されていると思います。介護ロボットにおいても、同様にご利用者の方の身体の状態に合わせて、使い分けることが重要となります。

介護ロボットの利用に対する基準・ルールの作り方

介護ロボットの利用に対する基準・ルールの作り方については、5W1Hをお薦めします。ここでの5W1HはWhom(誰に)、Why(利用の理由)、Which(どの介護ロボット)、When(いつ)、Where(どこで)、How(どのように使う)です。

まず最初に1stステップとして、次の3点を明確にします。

誰にどの介護ロボットを使用するのか決まったら、次のステップとして残りの3点を明確にします。

具体例: 介護ロボットの見守り分野の場合

1stステップ

介護ロボットの見守り分野を例にあげてご説明いたします。見守り分野にはいろいろな目的の介護ロボットが存在します。これらの中から目的に合わせて介護ロボットを選択していきます。

例えばAさんは離床時にバランスを崩すことが問題で、Bさんは眠剤の効果を知りたいとします。

Aさんは目的として、転倒を予防したい訳ですから「転倒・転落の予防」の見守りシステムが必要となります。よって、映像型のセンサーを選ぶことが適しています。

Bさんは眠剤の効果を知ることが目的となりますので、「睡眠状態の把握」に適した見守りシステムが必要となります。結果として、接触型センサー(ベッドの上に敷くタイプ)が適しているという事になります。

2ndステップ

介護ロボットが決まったら、次は「いつ」「どこで」「どのように使うのか」を決めていく必要があります。それぞれの介護ロボットが持つ複数の機能を、ご利用者の身体の状態に合わせて使い分けていきます。

ネオスケアを例にとって説明します。ネオスケアの検知項目には「起き上がり」「端座位/柵越え」「離床」「ずり落ち」があります。対象のご利用者の方について「座位保持」についてバランスを崩す・もしくはできない場合は、「端座位」「ずり落ち」の機能をONにする必要があります。

Cさんは「座位保持」にバランスをくずすリスクを持っていたとします。そうすると「端座位」の予兆動作にあたる「起き上がり」や「ずり落ち」の検知が必要になります。

Dさんは「歩行」時にバランスをくずすリスクを持っていたとします。その場合、「歩行」の予兆動作、「起き上がり」「端座位」「離床」の検知が必要となります。

以上のように、介護ロボットの利用にあたっては5W1Hに基づく「選定基準」が必要となります。

  1. 対象者・目的に合わせて介護ロボットを選ぶ
  2. 身体の状態に合わせて介護ロボットの使い方を選ぶ

チェックシートの作成

選定基準ができたら、次に個人によって判断がブレないようにチェックシートを作成します。チェックシートを作ることで、誰がいつ誰に対して判断を行ったのか、選定時点における対象者の方の身体状態、介護ロボットや、その機能の選択の根拠が記録として残ります。

例えば1stステップにおける映像型見守りシステムの選定基準の場合、次のようなチェック項目が考えられます。

リスク認知症
チェック項目□ 記憶障害
□ 見当識障害
□ 実行機能障害
□ 注意障害
□ 失行
判断基準チェック項目に該当が無い場合は、選定対象者では無い

2nd ステップにおける機能選択の選定基準には次のようなチェック項目が考えられます。

リスク転倒
チェック項目座位保持 :□できる □バランスを崩す □できない
立ち上がり:□できる □バランスを崩す □できない
歩行   :□できる □バランスを崩す □できない
判断基準「バランスを崩す」「できない」に該当する場合は定められた検知項目をONにする
検知項目座位保持 :「起き上がり」「ずり落ち」
立ち上がり:「起き上がり」「端座位」
歩行   :「起き上がり」「端座位」「離床」

最後に

選定基準のチェックリストを作成、運用することで個人による判断がなくなるとともに、施設内にどのような介護ロボットが何台必要なのかといったことも明確することができます。本テーマはYoutubeにも動画をアップしていますので、ぜひご視聴ください。